陸上養殖の将来性や市場規模について~メリットや魅力、欠点とは?~

陸上養殖は、天然水産資源の減少・海洋環境の悪化・食料安全保障(SDGs)などにより

近年世界中で注目を集めています。

海を持たない自治体や異業種からの新規参入も相次いでおり、

日本の陸上養殖の市場規模は2030年までに約1,700億円規模に拡大すると予測されています。

本記事では陸上養殖の将来性やメリット、参入するにあたっての課題(欠点)について紹介していきます。

陸上養殖とは?市場規模が急拡大する背景

陸上養殖とは、陸上に設置した人口の水槽やプールを利用して魚介類を育てる方法です。

近年では、廃校になった小学校のプールを利用されることもあります。

閉鎖循環式(RAS)という水のリサイクルシステムにより

環境負荷が低い養殖が可能となっています。

陸上養殖の注目が高まっている理由は、深刻な社会課題が背景にあります。

①天然水産資源の減少

世界的な人口増加や気候変動による飼料・穀物の不足などにより

「プロテイン・クライシス(タンパク質危機)」が懸念されています。

また天然の魚介類の漁獲量は減少傾向にあり、持続可能な方法でタンパク質を確保する手段としても

陸上養殖の期待が高まっています。

②海洋環境の悪化

近年の猛烈な台風や赤潮、海水温の上昇といった気候変動・自然災害は

漁獲量の減少にも影響しています。

屋内での陸上養殖であれば、水温や水質をコントロールできるため

環境の変化に左右されず安定した生産が可能です。

③食料安全保障(SDGs)

従来の海面養殖は魚のふんや残ったエサがそのまま海に流出し、

海底環境を悪化させることが課題になっていました。

水を循環させて再利用する陸上養殖であれば、排泄物などのごみを陸上で回収・処理ができるため

海を汚すことなくクリーンな養殖が可能です。

これはSDGs(持続可能な開発目標)の「目標14:海の豊かさを守ろう」の達成にも貢献しているのです。

異業種から企業が参入するメリットや魅力とは?

陸上養殖は水産業だけではなくIT企業・鉄道会社・プラントメーカーなど多種多様の企業が参入しています。

異業種で陸上養殖に参入するメリットは、主に以下のような理由があります。

・漁業権が不要で事業を始めやすい

漁業権の取得が不要なため、工業団地や内陸部でも事業がスタートできます。

・「地産地消」による輸送コスト・CO2の削減

大都市の近郊や消費地のすぐそばで生産ができるため、物流コストや輸送にかかる二酸化炭素排出量を削減できます。

・安心、安全の生産でブランド化しやすい

安全に管理された環境で育てるため、寄生虫やマイクロプラスチックの混入を極めて低く抑えられます。

無薬品、抗生物質不使用といったブランドとしての差別化が可能です。

・地域の活性化に貢献

工場の跡地や廃校のプールなどを利用し、地域の新たな産業や雇用を生み出すメリットがあります。

陸上養殖の普及に伴うリスクや欠点

陸上養殖は非常に将来性が高いですが、事業として成功を収めるにはそれなりにハードルがあります。

主なリスクや欠点は、「コスト」と「システムトラブルによる大量死」です。

陸上養殖は24時間365日、水槽のろ過装置や酸素供給装置、水温をコントロールする空調・チラー設備を稼働し続けます。

そのため電気代の負担が非常に重く、いかに省エネ性能の高い設備を導入できるかが収益化の鍵となります。

万が一機器の故障や設定ミスで環境が変化してしまった場合にも、水槽内の魚が全滅してしまうリスクもあるのです。

飼育環境を高精度で安定して維持するというのが重要なポイントとなります。

高性能なクーラーが必要な理由

陸上養殖において、魚の成長スピードや生存率を最大化するためにも「水温」の管理がとても重要です。

魚は変温動物であり、体温を一定に保つことができません。

そのため水温が1℃変わるだけでも魚の食欲や代謝、免疫力が変化してしまいます。

夏場に水温が上がり過ぎたり、冬場に下がり過ぎたりするとストレスによる病気の発生や大量死を引き起こすことがあります。

つまり、ここで重要なのが高性能なクーラーです。

陸上養殖では濾過ポンプのモーター熱や、照明、外気温の影響により水槽の水温が上昇しやすい傾向にあります。

そのため、水を冷やす「チラー(海水クーラー)」の導入が必須となります。

ですが養殖で使用するのは塩分を含む海水や、排泄物が含まれる飼育水です。

一般的な工業用・空調用のクーラーでは、金属部分がすぐに腐食(サビ)してしまい故障の原因になります。

陸上養殖の安定操業には、以下の条件を満たした「水産専用の高性能海水クーラー」が必要不可欠です。

  • 耐食性に優れた材質(チタン製熱交換器など):塩害や腐食に強く、長寿命であること
  • 高精度な温度コントロール機能:±0.5℃単位など、シビアな温度管理ができること
  • 省エネ設計:24時間稼働しても電気代を抑えられる高いエネルギー効率
  • 万全のサポート体制:万が一のトラブル時にも、すぐにメンテナンス対応ができること

設備を整えるにあたって、適切な知識を持った業者に依頼するのが重要です。

信頼できるパートナー選びが、陸上養殖成功への一歩です

食料の安定的な確保、環境保護、地域活性化など、陸上養殖は社会課題を解決するポテンシャルを秘めています。

一過性のブームではなく、これからの持続可能な社会に必要不可欠な分野になることでしょう。

ですが、先ほども記載した通り陸上養殖は高度な水質管理と水温管理システムの構築が最も重要です。

設備の選定を誤ると、コストの肥大化や大量死という致命的なリスクを背負うことになります。

新規参入を検討される際は単に機器を購入するだけでなく、養殖の現場を知り尽くし、過酷な環境でも安定して稼働する

水産用チラー・海水クーラーの専門メーカーに相談することが、プロジェクトを成功に導く最大の近道です。